0066 『ジョーカー』→『ダークナイト』の順番でみた感想・評価・雑記

 バットマンシリーズの『ダークナイト』と『ジョーカー』を見た。
 本来放映順は『ダークナイト』→『ジョーカー』だが、友人の一言で逆順の『ジョーカー』→『ダークナイト』で視聴。
 今回はその感想を書いていく。感想なので100%個人の見解。
 まずはネタバレ無し感想、その後にネタバレあり感想。

事前知識

 自分が見たことがあるのは『バットマン ビギンズ』だけ。ジョーカーがバットマンに出てくる敵って事くらいは知ってる。コミックは読んだこと無い。
 『ダークナイト』はなんか評価良かった気がするなー、『ジョーカー』は放映直後いろいろ物議を醸してた気がするなー、どっちもジョーカーの話なんだよね?程度の事前知識。
 議論好きオタクなので『ジョーカー』の評価がいろいろ物議を醸してた気がしていて、その「物議」とは何なのか?が今回自分が『ジョーカー』を見ようと思ったきっかけ。


ネタバレ無し感想『ジョーカー』

 率直な感想は「素直に面白いとは言えない。社会問題とかを考えるのが好きな人はいいかも。議論性のあるテーマ。主演の男優は素晴らしい演技。バットマンファンはどう思ってるのこれ?」。

 この作品の本質はバットマンとは違う部分にある。
 バットマンのスピンオフ作品ではなくて、めちゃくちゃお金かけた監督の二次創作だと思うと個人的にはしっくりくる。
 DCに正史があるか分からないけど本家のジョーカー像とは違うんじゃないか、と予想する。
 見た後にネットの評価などを検索していないけどファンが見たら「こんなのジョーカーじゃない」って言う人が居そうだなと思う。所謂「解釈違い」。
 じゃあジョーカーの名を使わなくてもよかったんじゃない?と一瞬思ったけど、描きたいテーマが先にあるんじゃなくて「ジョーカーでインスピレーション受けた。ジョーカーを使ってこういう作品を作りたい。」だったのではないか。

 そう感じた理由は、この映画で描かれるジョーカーは映画完結の後に市民とかバットマンの心を揺さぶって弄んでゴッサムを脅かすような最悪な犯罪者になる事実があるはずなんだけど、そこがどうしても繋がらない。
 ここで描かれたジョーカーは常人でも理解できることの積み重ねの先にあるキャラクターな気がする。
 正しくは無いかもしれないけどジョーカーという存在がどうして産まれたのか?を描いた作品としてはしっくりこない。最悪な犯罪者の心理が「あー分かる分かる」というのは違和感がある。
 そういう側面から監督が「こういう解釈もありでしょ。」という二次創作的な面を描いたように見えてしまった。汚く言うと監督のオナニーじゃねコレ?と感じた(DCがGOをだしてるので実際には違うけども)
 オリジナル作品だったら監督が全てでそれが最高にいいんだけどバットマンのジョーカーを使っての作品だったので物議を醸した、というのがこの作品なんじゃないか。

 ジョーカーのキャラから離れて映画単体としてみると、自分の好みにマッチしてはいないが興味深い作品ではあった。
 作風もテーマも暗いから気分が上がってエキサイティングという作品ではない。雰囲気作りが抜群で世の中の淀んだ感じ良く出ている。バットマンは詳しくないがゴッサム・シティの犯罪率が高いというのが言葉じゃなく映像として見て取れるのがすごかった。社会が腐敗しているのがより具体的に描かれていた。
 そして個人的に一番この映画の見所と言っても過言ではないのが主演男優の演技。
 笑っている所、踊っている所、ピエロ化粧の中の顔など、何をするにもこの人の演技が光る。
 演技に詳しいわけでもないけど「よくこんな表情できるな」とか言葉が無いのに表情を見るだけでもハッとさせられる場面が何度かあった。感服。
 演技者ならそれだけで価値のある映像作品なのかもしれない。

 好みの問題で、ザ・エンターテイメント!冒険活劇!などの類では無いのでどうしても「なるほどな」と落ち着いた評価ではあるが、「ジョーカー見た?どう思った?」など、人と話したくなる・議論したくなる作品。

ネタバレ無し感想『ダークナイト』

 率直な感想は「面白かった。ツッコミどころはあるけど怒涛の展開とバトル。『バットマン ビギンズ』の正統続編。」

 まず見終わってすぐに思ったのが「英題を見てなかった。The Dark Nightだと勝手に思ってた。 The Dark Knightだったのか。ジョーカー出ること聞いてたから最悪な夜をダークナイトって表現してるのかなー?とか適当なこと思ってた」だった、勘違いしてた、おバカ。

 上にも書いた通り「ジョーカーが出る」という事前情報だけで勝手に『ダークナイト』と『ジョーカー』を比較しようとしていたが浅はかな考え。
 ネタバレ回避で何も調べなかったのが仇となった。
 単なる愚痴だけどそういうタイトルやめて欲しい、続編なら『バットマン ダークナイト』がわかり易くない?

 先に『ジョーカー』を見ていたのと個人的にアクションとか冒険とかの方が好きだから「そうそう。コレだよコレ。」という思いが強かった。

 『ダークナイト』の感想は正直ネタバレ無しだとそんなに語ることは無い。
 個人的にこういうの好き、あー面白かった。これだけな気がする。
 強いて言うなら『バットマン ビギンズ』が楽しめたなら観るべき!くらい。
 ビギンズの方はバットマンが焦点で乗り物とかスーツとか事細かに描写してくれるのも面白かったが今回はジョーカーの一連の事件を全てバランスよく描いていた。
 バットマンとジョーカーがメインなんだけど、どちらかと言うとゴッサム・シティで起こってる事の群像劇だった。映画も2時間半と長く、その分しっかり主要人物が描ききれてて満足度が高い。

 映像表現とかに目新しさは無いけど必要十分。バットマンかっこいい。

 ストーリーはかなり好き。
 「正義」のテーマはやっぱり心踊る。

 先にも書いたが「ビギンズが楽しめたらきっと楽しめる続編」。
 しっかりアクション映画なんだけど個人的にはストーリーがいい。The Dark Knightかっこいい、バットマン好き。






ネタバレ有り!『ダークナイト』『ジョーカー』感想書き散らし

 ネタバレあり。
 長くなって疲れたので書き散らし。

 『ジョーカー』はよくDCのOKでたなー、どういう経緯で作られたんだろう。
 この話は描写的には、真面目で人を笑わせてハッピーにしたい善良な市民も社会とか環境とか運とかで狂って行く、、、、ようにみせかけて、、、、実は物心つく頃から狂った家庭環境で育てられて脳に傷(?)もあるかもしれなくて取り巻く環境も社会も自分自身も狂ってて運も悪くて、、、っていう悪い状況を5~6重に起こった悪い奇跡みたいな話。
 ただ部分的にみんなが共感できる事が多く含まれてて、不況で信用できない政治家、荒んでいく人間関係、真面目な人が損する環境、思うように行かない仕事、障害への不理解、ネグレクトや虐待の実態、介護の大変さ、共感が得られた時の陶酔とかとか、社会問題を詰め込みまくってそれが全部のしかかったのが主人公だった。
 そうやって考えると「あー、狂ってもおかしくないかもしれない」と思う反面、やはり当事者ではなく外から見ていて客観視しているし、中盤あたりからは主人公は障害+虐待とかなり厳しい環境で育ったと分かると「うーん、本質的には共感できない。分からない。」という自己結論で閉じてしまった。
 ただ主人公はそういう一般人にも「あーこの部分は分かる」の積み重ねの果てに産まれたキャラなので大量殺人鬼・ガチの犯罪者としての狂い度は弱いように感じる。実際、主人公は自分を傷つけてきた相手を殺している。優しくしてくれた小人症の同僚は見逃した。傷つけられたから殺すは頭がおかしいけど、やり返したいという気持ちは理解できるから、ある意味理性ある行動にも見える。ここらへんはジョーカーの解釈違いというよりも、大量殺人者に対しての解釈違いなのかもしれない。
 その他印象的だった場面は、最後らへんのピエロのデモ参加者とジョーカーのシーン。自分も集団心理とか、自己と他人の切り分けが正しく出来ているかが分からない事もあるので、暴れまわるピエロの一人になりえる、またそうはなるまい、と強く思わせられた。
 あのシーンはデビルマンの1シーンの様でもあり、人間は本質的にああいう部分も持っていてそれが表に出ているか出ていないかだけだ、って見せられてるようで心底怖かった。

 個人的にはこの作品を一般的に勧めようとは思わない。
 かなり限定的な場面、例えば社会問題について議論したい人とかじゃないとオススメできないなぁと思った。
 「ジョーカー見た?見てないなら見たほうがいいよ」はちょっと言えない。
 「ジョーカー見た?オススメしないけど自分がジョーカーの話をしたいから見て!」なら言えるかなw

 ただ主演の人はパーフェクト演技だったと思う。
 演技者で映画を見るタイプじゃないし、素人考えなんだけど、あの人完全にあの映画を演じるための役者人生だろってくらいハマってた。
 ただね、ジョーカーのジョの字も知らないくらいだったけど、狂ってて大犯罪を犯してギャハギャハ笑ってってのは『ダークナイト』のジョーカー像がやっぱり合ってたと思う。

 人それぞれではあるんだけどさ、面白いとは違ったかな。



 『ダークナイト』かなり良かった。
 やっぱり個人的な好みにあってたのが一番大きい。
 何が良かったってただのバットマンVSジョーカーだと思ってたんだけど、思ってたよりゴッサム・シティ全体の話だった事。
 主要キャラが全員粒ぞろいでキャラが立ってる。
 展開も、ジョーカーやばいやつだわ、え、ゴードン死んだ?嘘でしょ?やっぱ生きてるじゃん、え?レイチェル死んだ?デント闇落ち?え、ほんとにレイチェル死んだ?デントまじで光側の正義担当すると思ってた、マジかよ、フォックス去っちゃうの?残ろ?ほんとにレイチェル死んだ?ゴードンの家族はほんとやめろデント!え、まじでレイチェル死んでる???などなど最後まで楽しめた。
 ツッコミどころはそりゃあたくさんあるんだけどさ、その場の興奮が上回るからまぁいいか!ってなる。
 ジョーカーあの後普通に捕まってんだろか。まだ何かありそう。
 なんかメタ的心配なんだけど、レイチェルほんとに死んでたらヒロイン不在で物語進むことになるんだけど、それは絵面的にやっぱり新ヒロインが出てくるのかね。

 バットマンのテーマのひとつが「正義」だと思うんだけど、いろいろな作品で何度も描かれているけど普遍的で面白いし分かりやすく心が動かされるテーマ。
 エンターテイメントは単純にこういうの好き。
 バットマンってずーっと殺さずだったっけ?
 あんなに思い悩みながら正義の判断を最後にはちゃんとするのに、ジョーカーでさえ殺すことを躊躇うのはやっぱり完璧ではないちょっとエゴ混じりの歪んだ正義なんだろか。
 両親が目の前で殺されて不殺を貫いてるんだったっけ?殺そうと思うとフラッシュバックしてできないんだっけ?

 なにやら『ダークナイト ライジング』もあるらしい。
 すぐにってわけではないけど近々見る。楽しみ。

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