0065 『ドラゴンクエスト11S』クリア後 感想・評価・雑記

 (ほぼ)はじめてのドラクエ。そしてクリアまで

『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』をプレイ・最後までクリアした。

クリア後の感想・個人的評価・雑記をほぼ自分用に記録しておく。
一応ネタバレ回避の感想を最初に書いておいて、その後にネタバレありの感想書く。



前提

面倒なオタクなのでまずここから。
ドラクエ経験はほぼ無し。
「ほぼ」というのは、大学生時代に友人の研究実験テーマ「ゲームの面白さに関する研究」の実験の一環で1日1時間、10日間くらいドラクエ5をプレイしたことがあった。

自分自身ゲーム好きだけどドラクエを経験したことがなかったので良い切っ掛けだったし、その後セーブデータも貰えるから引き続きゲームも楽しめるってことで受けたんだけど、なぜかその後クリアまではプレイしなかった。
その時は楽しくプレイしてたはずなのに続きをプレイするまでには至らず。

それ以外のドラクエは経験が無い。
ドラクエでは無いが多大に影響を受けている鳥山明のドラゴンボールはマンガもアニメも見ていて好き、だがファンというわけではない。

プレイ前のイメージはいい意味でも悪い意味でも「古き良きRPG」。
自分に合うかどうかは分からないけどファンがたくさん居るからいいゲームなんだろうな、って感じ。


ネタバレ無しクリア後の感想

率直な感想は、「不自由さ、疑問、アンバランスさ、古臭さ、など微々たる不満はあるけど魅力に溢れたストーリーと遊び心。名作RPGに偽り無し」。

以下良し悪しの箇条書き

【悪く感じた所】
・回復や死者の復活やセーブなど「ドラクエらしさ」という名の不自由・無駄が多数ある。
・ロードの頻発、一部飛ばせない効果音などシステム的な細かい不完全さ。
・運が絡む事が多く、バランスが良いとは言えない戦闘。
・「鳥山ism」が濃すぎる。

個人的に悪く感じたけど、これがいいんだよ!って要素もたぶんある。

【良く感じた所】
・ストーリー、構成、演出が最高級。
・プレイヤーの期待にしっかり応える要素の多さ。
・とにかく丁寧。しつこいくらいに分かりやすい。
・多様なキャラクター、一人一人しっかり語られるストーリー。
・こだわりを感じる敵キャラクター達。
・たくさんの遊びココロがある、良い意味での無駄要素。

総合的に見ると、ポジティブが7割、ネガティブが3割くらい。
いいゲームだった。
賛否両論がありそうなのがプレイ時間。
寝落ちとかもあったけど自分のクリアタイムが約90時間。
ほぼサブクエストをやっていなくてこれだけ掛かってるから大ボリュームな事が分かる。
人によってこれは長すぎると思う。
個人的にもちょっと長いと感じた。
途中レベル上げの時間があったので、そこを短縮できたら丁度いいボリュームだった。
ファンにとってはたくさん楽しめて嬉しいだろう。

総合で見て(個人的な)大きな欠点は戦闘が大味なところ。
レベルを上げればクリアできるので詰まりはしない。
AIがそこそこ優秀なので任せっきりでもクリア出来る。
あまり考えなくてもクリアできるのは良くも悪くもある。
考えてチームやスキルを組んでもそこまで大きく戦闘に差がでなくて、運ゲーの要素が強い。戦闘は楽しく感じなかった。

ただ、そんな戦闘の大雑把さはこのゲームにおいては些細な事。
世界観、ストーリー、演出の良さ。ドラクエブランドは伊達じゃない。
従来ファンはもちろん楽しめるだろうし、ストーリーメインのゲームが好きな人は楽しめること間違いない。
ゲームは時々って人も1本で長時間楽しめるし、丁寧が過ぎる!くらいのゲームなので迷ったり詰まったりする事も少なく、最後まで楽しめるはず。

分かりやすい、けど単純ってわけでもなく引き込まれるストーリー、本当に推せる。
国民的RPGって言われてたのは昔かもしれないけど、今でもその名に恥じないくらいの名作RPGだった。


ネタバレ有り!!本当にこまかーーーい感想

上の箇条書きから更に細かく感想を書いていく。
箇条書きの順序通りなので、最初に【悪い】、その後に【良い】。

【悪い】回復や死者の復活やセーブなど「ドラクエらしさ」という名の不自由・無駄が多数ある

これは特に女神の像、教会関連。
オートセーブあるのに教会や女神の像じゃないとセーブできないってのは不親切な気がする。
そして全滅したときにセーブした所から開始するが無いのもナンデ?と思う。
毒とか呪いとか復活とかも呪文覚えたら必要無いのは良いとしても、宿屋で回復しなかったり、教会で回復するときも複数人一気に回復できなかったり。
たぶんここらへんって昔からの伝統って感じがする。
ここまで丁寧に作られてるゲームが、この不親切さに気が付かないはずが無い。
「伝統」が良くない方向に働いたんじゃないか。
そこを便利に作り変えたとしてもドラクエらしさは損なわれないと個人的には思うから、そこは便利重視でも良くないかな?

【悪い】ロードの頻発、一部飛ばせない効果音などシステム的な細かい不完全さ

もしかしたらこれはSwitch版をプレイしたせいかもしれない。
ロードの長さは仕方ないにしても、あらすじを全部見てからロードが入るのはちょっと気になる。
あらすじを読んでいる間にロードして欲しかった。
天空のフルートの効果音は飛ばせないし、効果音の後でロードが入るし。
そういうシステム面でおしい部分がある。
気にならない人は気にならないと思うけど、ド丁寧に作られてる作品だからよけいに気になってしまった。

【悪い】運が絡む事が多く、バランスが良いとは言えない戦闘

戦闘は個人的にこのゲームにおいて楽しい要素にならなかった。
自分の中での最大の理由は、戦闘をコントロールしたいのに出来る要素が少ない、から。
このゲームでの戦闘は運が大きいのと、レベルと装備でのステータス向上が大部分を締めている。
運要素の例としてランダムでかかる状態異常が非常にやっかいで面倒だが、後半のボスはほぼ必ず使ってくる。
強い状態異常は、魅了、麻痺、転倒、金属化なんかがある。
この中で魅了と麻痺はある程度対策できるが、転倒と金属化は対策があまり出来ない。
後半のボスはこれらの状態異常を複合で使ってくるので運の要素が強くなってくる。

味方の成長要素もちょっと薄い。
スキルボードを見た時はワクワクしたものだが、スキルを開放して成長したことが実感できることは戦闘中にあまりない。
スキルで複合的にちょっとずつ強くなってることは間違いないが、スキルを考えてうまく取得するよりもレベルを1つでも上げたほうが強さを実感できる。
敵が運ゲーを仕掛けてくることもあってスキルで戦闘をコントロールすることは難しい。
自分が出した結論はスキルはあんまり考えずに好きなのを取って、ザコ戦闘はオールオート。ボス戦はちゃんと戦うけど勝てなかったら戦術を練るんじゃなくてレベル上げ。
戦闘をいろいろ考えて楽しみたい人はちょっと肩透かしを食らう。
意図的にレベルを上げて装備をちゃんと整えれば詰むことは無いデザインされてると思う。
運要素ありのザックリな感じの戦闘もドラクエの個性な可能性はある。

【悪い】「鳥山ism」が濃すぎる

例えばデザイン。これは良いと思う。
独特だが愛嬌があったり、禍々しさがあったり。
おっさんキャラ、美人キャラ、多様な方が好きだし、いい。
ただ、亀仙人のじっちゃんみたいな、老人にエッチな本とか、ぱふぱふ。
これはそんなに要ら無くない?w
ドラクエ11内でも前面に出しすぎだろって感じるのに、もし毎作品コレをやってるんだとしたら、鳥山ismに固執しすぎてるんじゃないかと思ってしまう。
かなり個人的な意見ではあるけど、もろにエロ要素だされると萎える。


【良い】ストーリー、構成、演出が最高級

ストーリーが最高!!
たぶん初代?を知ってるとなおいいんだろうな、とも思う。
世界崩壊前には、けっこうビターなサイドストーリーが多いと思ってて、それはそれで好きだった。
過去に戻った時はベロニカの為と世界崩壊を食い止める為ってストーリー上の説明だったけど、まさか主要なサイドストーリーもほぼ回収できるとは思わなかった。
それに気がついた時は、なんてあったけぇストーリーだ、と思わず唸った。
(あと、他のゲーム開発者もやりたいけど予算や時間の都合上出来ない事をドラクエなら出来る。流石ドラクエとも思った。)

そのストーリーを魅せるための構成なんだけど、上手く言い表せない。
ゲーマーメタを裏切る構成だった気もする。
ベロニカのスキルがセーニャに引き継がれた時、システム的にセーニャにそこまで用意したり、短髪のビジュアルまで用意するならベロニカはもう復活しないのか、、、と思ったら過去に行くし。
カミュの記憶が無くなった時にストーリー上何か重要な事があるのかと思ったら特に何もなく記憶取り戻すし。
勇者の剣を手に入れようとした時にホメロスが出てきた時、ホメロスが闇落ちして裏切った事はもうプレイヤーだったら誰もが予測済みの事だった。
けど、そこでデルカダール王が出てきてウルノーガが正体を明かした時はココで!?と思った。
ホメロスとデルカダール王の2段構えで真相を明かした後、勇者一行の転落。
これから取得した勇者の剣でウルノーガに挑もうと気分を上げて、から落とす。上手い。
ただニズゼルファはちょっと取ってつけた感じはしたかも。
崩壊前の世界でウルノーガとニズゼルファの名前を同等くらいに扱っても良かった気もする。

演出もすごく良かった。
これはCGがすごいとかムービーがいいとかもあるけど、自分が感じた部分はもっと細かい部分。
例えば敵のモーションが一体ごとに細かくあるとか、街にいるモブの状況に応じたモーションの違いとか。
サブクエストが受けられる街の人が考え込んでたり困った顔をしていたり。
何かイベントがある時、プレイヤーに一々選択を迫るのもいい演出。
例えば命の大樹の枝に触れて過去の記憶を見る場合も、「命の大樹の枝に触れますか?」「はい」「いいえ」ってプレイヤーに選択させる。
プレイヤーは命の大樹に触れれば映像が流れることは分かっているから省いても良い気もするけど、そういう選択をプレイヤーに選ばせる。
そういう細かい演出がドラクエらしさを作っていて、すごくいい。
本当に丁寧に作ってある。

【良い】プレイヤーの期待にしっかり応える要素の多さ

要素多い!
自分はクリアしただけなので、すべての要素を遊び尽くせていない。
クリアした時、レベルの最高値が勇者の69だったんだけど、スキルは全然開放できてない。
レベル99前提の裏ボスも居るらしい。
装備の獲得も全然消化してない。
サブクエストもほぼやってない。
ニズゼルファを倒してストーリーエンディングを見た時点で90時間。
プレイヤーにやる気があれば更にたくさん遊べるのは良いことだ。
まだ聴いていないが、ボイスドラマもあった。
モンスター図鑑とかもあった、埋めてない。
ちいさなメダルもまだ全部集めてない。
街の人も仲間もあんまりテキスト読まずにストーリー進めていたけど、たぶんテキスト量すごい多い。特に仲間のキャンプ。
なんにせよすごいボリューム!ハマった人は嬉しいだろうな!
自分は裏ボスは倒す気は無い!レベル上げめんどすぎる!

【良い】とにかく丁寧。しつこいくらいに分かりやすい

丁寧さについては上でもいろいろ語ったけど、ここが良い!って挙げた点についてはとことん丁寧に作られている。
特に自分が関心したのはストーリー。
正直けっこう複雑なストーリーであると思う。
いろんな要素が詰まってるし、時間が戻るのと、過去の人を蘇らせたり、戦ったりするせいで時系列がごちゃごちゃになりそうになる。
それが見事に分かりやすく語られている。
なんでここまで複雑なストーリーをしっかり理解出来ているのか、なぜすんなりこのストーリーを受け入れられているのか謎ではあるが、ちゃんと理解出来ている。
たぶん順序よく、分かりやすく、過不足無く説明されているからなんじゃないか、くらいにしか考えが及ばない。
とにかく分かりやすい!
「分かりやすく」は開発側は分かってても中々徹底できない部分だと思うので、しっかり実現できてるのは素晴らしい。

【良い】多様なキャラクター、一人一人しっかり語られるストーリー

昨今のメインキャラクターから大きくハズレないけど少しずれたところがあるキャラクター達が8人。
全員がそれぞれ個性があり、、、というのはかなりありきたりな書き方だけど、まさにその通り。
そしてこの作品がすごいところはキャラ一人のストーリーを匂わすどころか、かなりしっかり描くところ。
Switch版での追加も含めたら3分の1くらいは各キャラの個人的なストーリーを描いていた気がする。
みんなメインストーリーに絡む話でもあるから自然に導入されるし、キャラクターの苦悩とか気合も理解しやすい。
個人的にすごく良く感じたのは、勇者一行のキャラクター全員が有能であり、まさに世界を救う代表である所だ。
滅んだ国の王子で運命に選ばれた存在の勇者、勇者のおじいちゃんのロウ、デルカダールのトップ騎士グレイグ、デルカダールの姫で勇者と小さい頃から縁があるマルティナ、騎士の座を捨てて世界を笑顔にするために旅に出た金持ち実家持ちのシルビア、勇者を支え導く役割である双子のセーニャとベロニカ、予言でなんか付いてきたカミュ(あれ?カミュだけ関係弱い…?)。
国、街の上位者が協力して世界救う。しかもそれは使命ももちろんあるけど、理由が自分の信念や想いがベースにあり、その上で勇者に魅入られたからであることがストーリーから感じられる。
プレイヤーである勇者は一見無個性に描かれて居るようで、困難ではあるが世界を救う為の道を真っ直ぐ着実に進む芯の強さが描かれていて十分個性的。
みんな個性的でみんないい。
下手に恋愛要素を匂わせなかったのもよかったかもしれない。

【良い】こだわりを感じる敵キャラクター達

敵キャラクターって雑に扱うゲームは扱う。
ドラクエレベルになると別作品でモンスターを捕まえる作品があるくらいだし大切に扱うとのは分かる。
それにしてもだ。
時々敵キャラに発生する「様子を見ている」テキストが敵によって違ったり、敵にもゾーンがあったり、攻撃モーションも細かいし、ダメージモーションの他に死にモーションまである。
なんだったら喋る敵NPCキャラのテキストにもこだわりを持ってそうだ。いや、たぶん持ってる。
デザインは鳥山ismが出過ぎじゃないかな?とも思うけど、逆に考えるとこだわりにこだわり抜いて完璧に鳥山デザインを世界に落とし込んでる。
デザイン以外にこだわりを感じたのは、ウルノーガも悪のトップとして有能だってこと。
悪に染まった途中のボス達は、無念があったり、嫉妬があったりするところをウルノーガに心を囚われてボス敵として立ちはだかる。
(ウルノーガは有能ボスだが、ニズゼルファがぽっと出のボスに見えてしまう)
ウルノーガの世界征服の目的は見えても、そのバックボーンを無駄に多く語らないのも個人的には嬉しい所。その分、味方側のバックボーンを多く見れた。

【良い】たくさんの遊び心がある、良い意味での無駄要素

遊び心好きとしては、楽しい無駄がたくさんあるのは良いことだと思う。
それが個人的な好き嫌いはあるけど、遊び心ある無駄要素、それ自体が好き。
その点、ドラクエ11は遊び心満載。
例えば、状態異常のつられてダンスが一人一人違って各キャラっぽい踊りになってたり、転倒の格好が違ったり。
それいる?ってモーションで走る衣装があったり。
サマディー王国の王子の個性がめちゃくちゃ強かったり。
勇者が魚になったり、セーニャの髪型変更なんかが後からもできたり。
モンスター倒したら乗れる奴がいたり。
カジノ2つも要らんでしょと個人的には思うけど、嬉しい人もいるかも。
そこにそんなに力いれる必要ないよね!?って所に力が入ってる。
そういうのが総合的にドラクエの世界観を作っててドラクエらしさになってるんだろうなと思う。


まとめ

ドラクエ11S面白かった。
そして11だけをプレイしても感じるドラクエのブランド力と確かな実力。すごい。
人気なのもうなずける。
自分の考えはもしかしたらズレてるかもしれないが、ドラクエ11は「ゲーム」より「良質な読み物」に近い感じがする。
ストーリーが最高でそれを彩る様々な要素がある作品って表現した方がしっくりくる。
よくあるゲーマー雑談でドラクエのナンバリングタイトルでどれが面白かったかって話題を何度も耳にした。
そのたびに語られる事が多いのはストーリー、キャラクターの話がほとんどだ。
JRPGはストーリー重視というのは良く言われることではあるが、こんなに贅沢で派手で上手くストーリーを表現している作品は他にあまり無い。
(FFもその節はあったと思うが、毎回システムが変えたりしてるので、ドラクエの方がストーリーをメインで捉えている色が強いと感じる)

今の時代何でも良く作る事を求められてる節がある。
ゲームだと「ゲーム部分を良く作るべき」だと考えがち。
ドラクエは自分のブランドの良さをしっかり知っていてその認識通り作り上げる事に振り切ってる。
(たぶん昔は試行錯誤があったんだと思うが)
その点がぶれなくてどんどんブランド力が強くなっていったんじゃないだろうか。
ただ、もうその「ドラクエらしさ」は卒業してもいいんじゃない?って思う部分も多少はあった。

昔はよくあるJRPGの中でも「やっぱりドラクエ」だったのかもしれない。
けど、今の時代だとドラクエに似たゲームを挙げる方が難しい。
人気の理由とかドラクエらしさを考えたくなる、不思議な魅力ある作品だった。
ドラクエはもうよくあるJRPGじゃない。
変だけど面白い、不思議で唯一無二なゲームだ。


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